【 葛とは 】
葛はマメ科のつる性の多年草、秋の七草のひとつです。
日本中の山野に自生していて、周りの木々をつるでおおってしまうほどの生命力があるそうです。
夏、8月から9月に花をつけ、冬、12月から3月に葛の根を掘り起こすそうです。
小さなものは10㎏、大きなものは100㎏にもなり 掘り出すのは大変な作業だそうです。
1kgの葛の根っこから 100gのくず粉しかできないそうです。
土の中で育った長芋のような茶色いものから「寒晒し」という伝統製法で純白のくず粉ができるのです。
【 活用 】
よく耳にする漢方薬の葛根湯は、風邪の症状のあるときに飲みますが、
葛を主に マオウ ショウキョウ ナツメ ケイヒ シャクヤク カンゾウ などの生薬が入っています。
葛根湯は薬ですから飲む人は限られますが、葛の根だけならどんな人でも食されます。
葛は、人体の機能を高めますので全身の代謝を活発にし、細胞の若返りを起こします。
老化の最大の原因である、体内に停滞する老廃物の排泄と活性酸素の中和も行い、さらにホルモンの分泌も盛んになり 相乗的に老化を防止していきます。
体内の代謝が活発になりますから、皮膚の細胞も同様に代謝高進が起こります。
そして、血液とリンパの循環が良くなるので保湿性が高まり血液の色もきれいになり皮膚の色
つや、透明感、みずみずしさも現れてきます。 美容にもいいのです。
さらに 余計な脂肪や水分も排泄されて 体型も引き締まってきます。
体内の機能が上がってくると 姿勢も動作も整ってきびきびしてきます。
それに声にもハリが出てきます。精神状態も安定します。
総合的に高まる結果、表情も明るく人相まで良くなります。
神戸大学名誉教授、津川兵衛先生の文献によると
「感冒時の葛根の発熱、解熱作用は顕著な効能の一つである。
また、葛根は鎮痙作用をも有し首筋や背、肩の筋肉のコリを和らげてくれる。
夏の熱暑と水分の取り過ぎで過敏になった胃腸にも、この鎮痙作用は威力を発揮する。
だから昔は貴重な常備薬だったそうです。
常食する人には禿頭(トクトウ)は見当たらない。なぜかというと、それらに含まれるプエラリンをはじめ、数種のイソフラボン類(植物エストロゲン)は強力な女性ホルモン様作用を発揮するのである」 ということでした。
薄毛、前立腺にもいいということですからますます多くの方にお勧めしたい食材です。
葛は花、若葉、根まで全て使えるスーパー薬草とも言えます。
【葛花(カッカ)】 ・・・ 血液浄化
酒毒を消す妙薬です。葛花3~5gを300mlの水で煎じ、沸騰してきたら加熱を止め、冷えてから飲むようにします。(葛の咲き始めの頃の花を乾燥させたものを使います。)
肝炎や肝硬変にも良いといわれ、とても貴重です。
ハチミツを入れて小さく丸め丸薬にして乾燥させれば一年は持ちます。
【葛葉】 ・・・ 肝臓強化
葉は青汁としても服用することもできます。外用としては 外傷の出血に塗ります。
【葛根(カッコン)】 ・・・ 人体の基本機能向上に万能
養生訓を著した貝原益軒の菜譜や 江戸時代の農学者、大蔵永常の製葛録にも葛の事が記されていますが
救荒食料として認知されていたようです。良質のデンプンであり効率よく栄養を摂取するには最適の食材だったようです。
葛粉は、葛根を潰してでんぷんを取り出して水に晒す作業を何度も繰り返しアクと不純物を取り除き、最後に乾燥させて完成となります。
したがって、良質の葛粉を作るには、水は清く冷たくなければならず空気は乾燥していなければならない。
良質の水、冬の厳しい寒さの条件にあったところが、今、葛の産地として残っているようです。
奈良県の吉野葛、石川県の宝達葛、静岡県の掛川葛、三重県の伊勢葛、福井県の若狭葛、福岡県の秋月葛などが産地です。
ただ美味しいだけの葛でなく私たちの健康には究極の万能の食材といっても過言ではない葛を先祖に感謝していただきたいものです。
また後日、簡単な美味しいレシピをご紹介します。